子どもたちを狙った犯罪がなくなる兆しは見えず、保育園が犯罪の現場になってしまう危険性も高まっています。元刑事として多くの事件現場を見てきた経験を活かし、さまざまなテレビ番組などでコメンテーターとして活躍する佐々木成三さんに、私たちが子どもたちを守るためにできることを伺いました。
保育に関わる者として、保育園での犯罪はなんとしても防がなければならない問題です。
現状、保育園での犯罪は増えているのでしょうか?
「保育園を含めた学校での事件の認知件数はそこまで伸びているわけではありません。でも近年は学校内での盗撮事案など、子どもを対象にした犯罪の話を耳にする機会は多いように感じています。ここには学校を舞台にした犯罪が世間から注目を集め、報道などが増えていることも影響していると思います」
報道が増えているのはそれだけ事件が多いからではないのですか?
「もちろんそれもあります。また、以前の警察は『民事不介入』の立場を取っていましたが、子どもたちの人身安全関連事案 (身の安全を早急に確保する必要の認められるもの)に関しては積極的に介入するという体制を整える方針になったことも大きいでしょう。警察が積極に介入して小さな事案を取り締まることで、後に起こるかもしれない大きな事案を防ごうという考えです」
犯罪を未然に防ぐうえで、保育園が気をつけることはありますか?
「多くの保育園では不審者が園内に入り込むのを防ぐために防犯カメラなどを設置しています。これはとても良いことです。一方で今は『リモート型犯罪』が確立されていることにも見逃せません」
リモート型犯罪とは?
「ネットを介することで離れた場所にいても行える犯罪を指します。わかりやすいところで言えばSNS型投資詐欺や特殊詐欺のようなものです。防犯カメラを設置することでみなさんは安心かもしれませんが、ネット社会では離れた場所にいても盗撮が可能です。私たちが『ここは大丈夫』と思う場所には隙が生まれやすいもの。そのため、犯罪をする側から見ると逆に犯罪しやすい環境になっていることもあるのです」
でも部外者が一切入れない環境にするのは難しいものです。
「おっしゃるとおりで、防犯レベルをどこまで上げればいいかは私も葛藤している部分です。極論ですが、保育園を金網と鉄格子で囲えば部外者の侵入は防げるかもしれません。でもそのような環境で子どもたちに教育をするのが良いこととは思えません。安心できる環境をどう整えていくかは、さまざまな立場の人たちで知恵を出していく必要があります」
刑事時代、そして現在のお立場でさまざまな場所を見てきた佐々木さんが「これはいい」と感じた防犯対策はありますか?
「今は家電がネットに繋がるスマート家電が増えています。インターホンも呼び出しがあるとスマホに映像が届くものがありますね。園内では女性の保育士さんが多いと思いますが、インターホンは男性の保育士さんが対応するだけでも防犯効果は上がると思います」
確かにデジタル機器の活用は効果がありそうですね。でも相手もデジタル機器を用いるでしょうし、いたちごっこにもなりそうです。
だから物に頼りすぎるのは危ないでしょう。私は保育士さんが日常的にどんな意識で防犯を考えているかというアナログ的な感覚も大切だと思っています。受動的か能動的かで、園内のわずかな異変に気付けるかが変わってくるのではないでしょうか。それは盗撮カメラを見つけたという具体的なものだけでなく、いつもと園内の空気感が違うという感覚的な異変かもしれません。私はそれを『直観力』と表現しています」
些細な異変に「おや?」と感じるために必要なことはありますか?
「保育園や学校だけではありませんが、刑事時代に事件現場に行くと、共通して感じることがありました。
それは衛生管理が行き渡っていなかったり、部屋が散らかっていたりするなど『現場が汚いこと』です。なぜだろうと考えると、施設の職員が
て小さな事案を取り締まることで、後に起こるかもしれない大きな事案を防ごうという考えです」
犯罪を未然に防ぐうえで、保育園が気をつけることはありますか?
「多くの保育園では不審者が園内に入り込むのを防ぐために防犯カメラなどを設置しています。これはとでもそのような環境で子どもたちに教育をするのが良いこととは思えません。安心できる環境をどう整えていくかは、さまざまな立場の人たちで知恵を出していく必要があります」
刑事時代、そして現在のお立場でさまざまな場所を見てきた佐々木さんが「これはいい」と感じた防犯対策はありますか?
「今は家電がネットに繋がるスマート家電が増えています。インターホンも呼び出しがあるとスマホに映像が届くものがありますね。園内では女性の保育士さんが多いと思いますが、インターホンは男性の保育士さんが対応するだけでも防犯効果は上がると思います」
-確かにデジタル機器の活用は効果がありそうですね。でも相手もデ受動的に仕事をしているので、散らかっていても見て見ぬふりをしているんです。だから自然に誰の目にも止まらない死角が生まれてしまう。
そこに犯罪の手が忍び込むのです。
もしみなさんにも心当たりがあるならぜひ環境改善をしてほしいですね。
合わせて一人ひとりの職員が能動的に働ける環境も整えて欲しいと思います。そのために大切なのがコミュニケーションです。先生同士、先生と保護者などが密にコミュニケーションできる環境があれば、自然に死角は減っていくはずです」
同じことは家庭にも言えますね。
「私もそう思います。家庭内が片付いていたり、家族で散歩に行った時に親が近所の人たちに挨拶をしていると子どもも安心するでしょうし、万が一何かあった時に助けを求めやすくなるはずです。今は生成AIが普及したデジタル社会。子どもたちは生まれたときからAIが身近にあるAIネイティブです。でもAIに真似できないのは人間性。子どもたちにアナログ的な体験をどれだけさせることができるかが情操教育になるでしょうし、日頃のコミュニケーションが犯罪に巻き込まれないようにする手助けにもなるはずです」
今は親が子供の頃とは環境も大きく変わっています。そのためには保護者も時代に合わせてバージョンアップしていく必要がありそうですね。今日はありがとうございました。
佐々木成三さん プロフィール
1976年岩手県生まれ。2017年に退職するまで埼玉県で主に刑事として勤務し、うち10年間を埼玉県察本部刑事部捜査第一課で勤める。捜査一課ではデジタル捜査班の班長として、デジタル証拠の押収解析を専門とし、携帯電話の精査や各種ログの解析を担当。また、捜査本部に従事し、被疑者の逮捕、被疑者の取り調べ、捜査関係者からの情報収集、被害者支援、遺族担当として数多くの実績を挙げた。2017年、埼玉県を退職。現在はコメンテーターとして多数の番組に出演するほか、一般社団法人スクールポリスの理事として学校や企業での講演など幅広い活動を行なっている。




















